夜間・休日のオンコール代行(往診代行)はON CALL

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夜間・休日のオンコール代行(往診代行)はON CALL

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2024.11.08 インタビュー

【後編】「安心の提供」を本質とする株式会社on callのサービス開発と体制づくり (株)on call代表 符 毅欣

ON CALL』の強み:医師の知見を活かしたシステム構築と人材配置の最適化

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体制面という表現が適切かはわかりませんが、他社のサービスも目的はそれぞれ異なると思います。同じオンコール代行サービス事業でも、設立の背景や目的が違うかもしれません。目指している方向性が異なるため、体制にも違いがあるでしょう。

他社さんが最終的にどのような世界を実現させたいのか、どのような目的で事業を行っているかは、私には正確にはわかりません。しかし、少なくともサービスとしてニーズがあり、そのニーズに応える形でそれぞれがサービスを提供しているという点では同じと考えます。これが基本的な前提です。

当社の体制面でいうと、組織構成が特徴的です。当社は外部投資家が支援するスタートアップ企業であり、経営陣には多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっています。

『ON CALL』 採用サイトより(https://recruit.oncall-japan.com/

例えば、私は医師としての経験があり、役員の中溝はビジネス経験を積んでいます。さらに、CTOの朝木は配置に強みを持つエンジニアで、輸送配置のアルゴリズムに関する専門知識を持っています。このように、多様な専門スキルを持った人材が集まってサービスを提供していることが当社の大きな特徴だと思います。

私が実現したいビジョンに基づき、医師をどのタイミングでどこに配置するかを朝木がマッチングアルゴリズムで最適化しています。『ON CALL』のサービスを実現するため、同じ目的を共有する人材が揃っています。

サービス内容については、クリニックの代替として、特に医療提供の基準を考慮し、理想的には主治医の先生が患者さんの電話に常に対応し、相談に乗る形がベストだと考えています。

また、専門医に相談しながら、有機的に患者さんに最適な医療が提供できれば理想的です。その現実的な解決策として、私たちは主治医の先生方が休めるように医師を配置し、サポートしています。

当社のコールセンターは、医療に精通した看護師や医療職が対応することが重要だと考えています。そのため、できる限り医師の知見を取り入れたマニュアルを完備し、いつでも医師と連携できる体制を目指しています。現在、コールセンターには看護師のスタッフを集め、医師によるサポート体制も整えているところです。


夜間対応の質を高めるには、日中の訪問診療の経験が鍵

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いくら資格があっても、在宅医療の現場経験が少ない医療者さんの対応の難しさは感じています。現場経験をどのように積んでもらった状態で参加してもらうか、もしくは社内でマニュアルや研修を提供するかは、今後考えていくべき課題だと思います。

これは医師に関しても同様ですが、医師がどの程度患者さんに向き合えるかは人それぞれ異なりますし、手技も経験の有無によっても変わってきます。

ひとつ言えるのは、この患者さんがどのような目的で在宅医療を受け、夜間に往診を依頼する時の状況や気持ちを想像し、理解できるようになるためには、日中の訪問診療の経験が重要だと考えています。

夜間対応の質は、日中の経験によって大きく差が生まれると思います。大きな病院での医師教育は、このような経験にはフォーカスしていません。病気を標準治療で治すか、標準的でない場合は論文を調べて対応する、といったエビデンスに主にフォーカスしているためです。

例えば、患者さんが「骨が折れたかもしれないが、できるだけ家で対応してもらいたい」と望んでいる場合、医療的には「骨折が疑われるので診断のために病院に行ってください」と答えるのが正しいです。

しかし、患者さんが求めているのは、「今の生活を維持する方法」、「できるだけ家で過ごすという手段」、「病院に行かずに自宅療養できるかの相談や、症状を軽減するためのアドバイス」です。

そのような希望に応えるためには患者さんの側に立つための事前の準備や対話の経験が必要だと感じています。


ON CALL』のサービスの本質は「安心の提供」

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「質」を考えるとき、私たちは「医師の質」と「オペレーションの質」の両面から捉えることが重要と考えています。在宅患者さんにとって医療とは対面の体験であり、単に「症状に対応すること、治療すること」だけではなく、「安心を提供すること」が本質だと感じています。

例えば、「先生が来てくれたので安心した」という言葉は、「医師の質」を示すものだと思います。患者さんが不安な中で相談し、安心して「今後も過ごせる」と感じてもらえることが大切です。それがたとえ、治療が難しい状況や終末期であっても、患者さんが状況を理解し、心の準備ができることが在宅医療全体として提供すべき価値です。

そして、夜間や休日の対応を行う『ON CALL』では、特にこの「安心を届ける」ということを重要とし、医師がそれを実現するためのサポート体制を整えています。

また定量化が難しい領域ではありますが、オペレーションに関わる医師とディレクター(往診アシスタント)の相互評価をデータ化し、建設的なフィードバックができる仕組みを作っています。

「オペレーションの質」の面でも、迅速かつ適切な対応が求められます。ディレクター(往診アシスタント)の存在だけでなく、窓口には看護師のスタッフを配置し、自社システムを駆使して、早く適切な医療を届けることを実現しています。

対応スピードや到着までの時間、待っている時間や診療中にどんな声掛けができるのかその当たりをシステムで管理もしながら、仕組みや教育体制で構築をしています。

総じて、医師やオペレーターが患者さんの立場に立って話せる「人間力」が根底には必要かと思います。コミュニケーション能力とは少し異なり、純粋さや素直さを持って患者さんに寄り添うことが医療の質を高めるために重要だと感じます。そのような医療人を集めて切磋琢磨していきたいと考えています。


フィードバックと評価の工夫

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『ON CALL』では対応後のフィードバックを集め、その評価を質の向上に役立てています。最も大切にしているのは、患者さんが安心を感じられたかどうかです。これがサービスの本質的な価値であり、質の高い在宅医療の提供に向けた私たちの指標でもあります。

「人間力」が一つのキーワードで、独自の基準をもとにフィードバックや評価を行い、医師やスタッフの人間力を適切に評価しています。具体的な評価項目には、「処置の確実性」や「言葉遣い」、「身なり」、「質問に対する対応の姿勢」などが含まれ、約10項目にわたる基準をもとに点数をつけて評価しています。

フィードバックを行うことで、質の向上に役立てることができ、評価の過程そのものが非常に重要であると感じています。

『ON CALL』 サービス案内資料「品質維持の仕組み」より

特に医師については、「診てもらえて良かった」という安心感がディレクターや医療機関からのフィードバックを通じて十分に伝わってきますし、それをしっかりと医師自身にも届けることが大切です。

まだ実現できていない部分もありますが、医師への評価や改善点の伝え方に関しても、表現のルール化やシステムを活用したAIを用いた自動補正機能などを取り入れ、「前向きな表現」の実現を目指しています。

また、訪問診療の経験の有無によっても大きな違いを生みます。在宅医療の現場で患者さんと直接向き合う経験は、医療従事者が業務を進める上での姿勢や理解に良い影響を与えます。

現在、社内オペレーションのスタッフにはアルバイトのメンバーが多くいますが、経験を重ねてフルコミットするメンバーが増えれば、チーム全体の質がさらに向上すると期待しています。経験の浅いメンバーにも、様々な顧客医療機関の現場を見学する機会を増やし、実際の現場での経験を積んでもらいたいですね。

顧客医療機関も、この取り組みを歓迎してくれています。私たちのチームの質の向上は医療機関にも大きなメリットをもたらしますし、医療機関の方々も「新たな仲間が学びに来てくれるのは良いことだ」と共感してくれています。


RESIDENT BANK』とは?在宅医療を支える新たなプラットフォーム

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『RESIDENT BANK』は、在宅医療に特化したオファー型ドクターマッチングサービスで、定期的な訪問診療や往診、緊急のスポット診療にも対応可能なシステムです。

医師は事前に対応可能なスケジュールや条件を登録し、その空き時間を活用して訪問診療やスポット診療の依頼を受けることができます。この仕組みにより、医師は限られた時間で在宅医療に従事し、フィードバックを通じてスキルを向上させることが可能です。

2024年11月6日 PR TIMESのプレスリリースより

本サービスの特徴は「オファー型」のシステムにあります。医療機関側が医師のスケジュールをもとに依頼を出す形式で、従来の人材紹介のように担当者が個別に医師を探す手間が省け、迅速なマッチングが可能です。特に、忙しい若手医師が効率的に在宅医療の経験を積めるよう工夫されており、医師も医療機関も柔軟に診療を調整できるようになっています。

サービス紹介サイト「RESIDENT BANK」より(https://resident-bank.com/

現在はベータ版で運用が開始されており、今後さらに利便性を高め、利用者にとってより価値あるサービスへと進化していく予定です。


医師が当たり前のように利用できるプラットフォーム化を目指す

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日中の診療経験は、医師にとって医療キャリアの一部として非常に重要であり、日本の高齢社会で役立つ知識が身につきます。その結果、夜間のバイトで得た経験が『ON CALL』サービスの品質向上にもつながると考えています。

『RESIDENT BANK』は日中の診療が中心で、『ON CALL』は時間外の業務に特化しています。このように役割を分けることで、医師に合ったタイミングやライフステージに応じた働き方を提供できるのが特徴です。

例えば、小さなお子さんがいる医師にとっては夜間の仕事は大変ですから、日中の診療を『RESIDENT BANK』でサポートするなど、柔軟な対応が可能です。また、夜間の経験が日中の診療にも活かされたり、逆に日中の経験が夜間診療に役立つこともあるため、医師やクリニックにとっても大きなメリットがあります。

在宅医療機関と大規模病院の間には医師数や診療体制にギャップがあります。『RESIDENT BANK』と『ON CALL』は、このギャップを埋めるための補完的な役割を果たすと考えています。

将来的には医師が当たり前のように利用しているプラットフォーム化を目指し、継続的にサポートする仕組みの実現が重要だと考えます。その中のひとつとして、『RESIDENT BANK』が効果的に機能するでしょう。



インタビュー前編はこちらからご覧いただけます。

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