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お問い合わせフォームへ− 11月から新設されたサービスマネジメント部門について詳しく教えてください。
中溝:
サービスマネジメント部門は、11月から新たな取り組みを開始しました。この部門は、従来のクリニックサポート(CS)部門を機能強化し、より包括的な役割を担う新しい部署として設立されたものです。
以前のCS部門は、主にオペレーションの対応不備やクレーム発生時の対応改善に注力していましたが、それでは対処療法に過ぎず、サービス全体の品質向上にはつながらないという課題がありました。
新設されたサービスマネジメント部門の役割は、弊社の提供する『ON CALL』というサービスの価値観を社内全体に浸透させることです。この価値観の核となるのが「患者中心の医療」です。
「患者中心の医療」とは、患者一人ひとりの状況やニーズを理解し、それに応じた適切な対応を行う姿勢を意味します。この考え方こそが、『ON CALL』のサービスの質を高める鍵であり、在宅医療において不可欠な要素です。スタッフ全員がこの価値観を深く理解し、高い意識を持つことで、クレームの未然防止だけでなく、患者とその家族が安心して医療を受けられる環境の実現を目指しています。
また、在宅医療は患者一人ひとりの心に深く寄り添う医療であるため、その対応が患者ごとに異なるのが特徴です。この多様性が在宅医療の本質でありながら、同時に対応の不一致や問題が生じる原因にもなり得ます。そのため、サービスマネジメント部門ではまず、「絶対にやってはいけないこと」を明確に定めています。
これまでの経験や事例から得られた暗黙知を形式知として全スタッフに共有し、守るべき基準として運用しています。この基準を全員が理解し、遵守することで、在宅医療における問題を未然に防ぎ、患者や家族が安心できる医療環境を提供することを目指しています。
サービスマネジメント部門は、単なる問題対応にとどまらず、サービス全体の質を向上させる仕組みを作り上げています。これにより、『ON CALL』が提供する在宅医療がさらに信頼され、患者やその家族にとって最良の選択肢となることを目指しています。
− 「患者中心の医療」を実現するために、どのような取り組みを行っていますか?『ON CALL』に携わるオペレーションのコールセンターやディレクターそれぞれのスタッフに対する具体的な取り組み内容を教えてください。
中溝:
在宅医療における「心」を常に伝えることを最優先としています。
この「心」とは、患者さんやご家族、医療者、そして『ON CALL』に関わるすべての人たちと真摯に向き合う姿勢のことです。この価値観をスタッフ全員に共有し、日々の業務に活かすことで、「患者中心の医療」を実現することを目指しています。
具体的には、過去のクレーム事例や対応方法を共有する仕組みを新たに導入しました。社内システム上に専用のスタッフページを設け、改善ポイントを学ぶ機会を提供しています。
たとえば、「救急車を呼ぶべきかどうか」という在宅医療特有の課題を取り上げ、全スタッフに周知しています。在宅医療では、患者さんが最期を穏やかに迎えられるよう、事前に「救急車を呼ばない」という取り決めを行うことが一般的です。
しかし、この方針を十分に理解していないと、患者さんや家族の意向を損ねる対応をしてしまう恐れがあります。そのような対応を防ぐため、在宅医療の基本的な価値観や事例を通じて具体的な課題を深く理解する環境を整えています。
さらに、採用面接や入社前研修の内容も改定し、「患者中心の医療」を実現するために欠かせない「心」の重要性や、「患者の方針に寄り添う姿勢」を強調しています。
今後開始する入社後の定期研修では、スーパーバイザー(SV)やディレクターのリーダー層に向けて、実際に『ON CALL』で起きた具体的な課題や注意点を共有し、「もっと良い対応ができたのではないか」という視点を全員で考える場を設けます。
これらの取り組みを通じて、スタッフ全員が「患者中心の医療」の価値を深く理解し、実践することで、質の高い在宅医療サービスを提供できる組織づくりを目指しています。
− 実際に取り組み開始してから変わりましたか?
中溝:
会話の内容がより具体的になったと感じています。
たとえば、患者さんからの電話を受けて往診に向かうまでの目標時間を設定して運用していますが、当初、その基準がスタッフに十分浸透していないことに気づきました。私は「ずっと伝えているつもり」でしたが、実際には目標が共有されておらず、現場では意識されていなかったんです。これを受けて、改めて自分の言葉で基準を丁寧に伝えることを心がけました。
その結果、現場で時間を意識した会話が増えたのを実感しています。たとえば、「今回の往診は目標時間内に対応できてよかった」といった振り返りや、「次回はどうすれば遅延を防げるか」といった具体的な提案が、マネージャー陣から積極的に上がるようになりました。このように、目標が現場で意識され始めたことで、スタッフ全体の行動が変化しつつあります。
特に大きかったのは、「私たちを待っているのは患者さんである」という視点が現場全体に共有されるきっかけになったことです。この意識が当たり前のものとして根付くことで、今後の取り組みの基盤となり、サービス全体の質をさらに向上させる原動力になると感じています。
− 最後に、今後の在宅医療のあり方や理想的な医療サービスについてビジョンをお聞かせください。
中溝:
在宅医療を経験して強く感じたのは、「在宅医療は甘くない」という現実です。私は医療の知識や経験を持たず、何ができるのか、もっとできることはないのかと、妻の介護を通して学び続ける日々でした。一人の命が終わりに近づく中で、支える家族として強くいることの難しさを痛感しました。
それでも、在宅医療を受けたいと思う人が正しい形で在宅医療を受けられる環境を整えることは重要だと思っています。そして、その環境が24時間365日安心して相談できるものであるべきだと考えています。究極的には、在宅医療に限定する必要はないと思っています。病院、ホスピス、高齢者施設など、信頼できる選択肢がすべての人に平等に用意されている社会が理想です。
ただし、私自身が在宅医療を経験し、その良さを深く実感したことから、在宅医療に対して恩返しをしたいという思いがあります。私が得たような「在宅医療を選んで良かった」という体験を、同じ選択をする方々にも提供したいと思っています。
「在宅医療がすべての人にとって最適な選択肢だ」と考えているわけではありません。その選択肢が正しく理解され、適切に選ばれる世の中を作ることが、私たちの使命だと考えています。
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