夜の一本の電話を、安心に。コールセンターの一次対応で現場判断の起点をつくり、教育設計で“再現できる質”を高める——。急性期での看護師経験を持ち、現在オンコール代行サービス「ON CALL」のコールセンターでリーダーを務める佐々木 南さんが、ON CALLを選んだ理由、在宅医療への想い、そして「すべての人にあたたかい最期を」という企業Missionを日々の業務に落とし込む方法を語ります。
Q. まず、これまでのご経歴と入社の経緯を教えてください。
A.急性期病院で救急病棟・ICU・放射線科に従事する中で、在宅で医療を受けられる体制づくりと、そのための知識・情報の普及が不可欠だと痛感しました。こうした課題に向き合うため、オンコール代行サービスを提供する「on call」へ入社。現在はリーダーとして、Missionである「すべての人にあたたかい最期を」の実現に向け、スタッフ育成と運用最適化を担っています。
Q. コールセンターの役割を、簡潔に教えてください。
A. “単なる電話受付”ではありません。コールセンターの目的は、お電話口の不安を速やかに払拭し、患者さんとディレクター・医師を円滑につなぐ橋渡しとサポートです。
患者さん・ご家族・施設からの入電を受け、症状経過・既往・服薬・方針(ACP/DNAR 等)を聴取。必要に応じて医師の電話再診や往診の要否を判断・迅速に手配します。ディレクター(医師同行スタッフ)と到着動線を調整すると同時に正確に記録を残します。
Q. 在宅医療への想いは?
A. 私が以前勤めていた急性期病院では、多くの患者さんが「早く家に帰りたい」と口にします。退院後に再入院を繰り返す悪循環は、本人の尊厳も医療資源も蝕む現実でした。だからこそ、夜間・休日でも“当たり前に相談できる窓口”が必要です。患者さんの方針(ACP)と意思を尊重し、過不足ない初動で必要な医療へ接続する——オンコール代行のコールセンターはその要だと考えています。

Q. ミッション『すべての人にあたたかい最期を』。現場で体現するために、何を大切にしていますか?
A. 土台は①約束を守る ②判断の基準をそろえるの2つ。まずカルテの方針(治療の範囲・搬送の可否・緩和の方針)を必ず確認し、なければご本人・ご家族の意思を丁寧にうかがいます。そのうえで、医療機関のルールの範囲で「今できること」と「難しいこと」をはっきり伝え、代替案を提案。応答→聴取→要約→確認→合意の流れを型にして、対応のばらつきを減らします。—『方針を守る』『迷わせない』『約束を守る』が在宅の安心の土台です。
Q. これまでの業務の中で印象に残った出来事はありますか?
A. 電話再診の対応依頼として医師につないだ案件で、診察後にわざわざ患者さんから折り返しのお電話をいただくことがありました。「さっきはありがとう。電話してよかったわ」「休日も夜間もいつでもつながるのね」と。電話では患者さんに寄り添うこと、そして次の一手を明確に伝えることの大切さを、改めて実感しました。スクリプトにも次の行動を言い切る表現を加えています。
Q. 教育するうえで大切にしていることは何ですか?
A.研修では、実際の入電案件に基づくロールプレイ、対応録音の振り返り、実画面を使った操作デモを組み合わせ、講義に偏らない“現場で再現できる力”を育てています。受講者にはあえて患者役も体験してもらい、こちらが不適切な応答を示して感情の揺れを体感してもらいます。相手の立場に立つ視点を身につけ、業務のイメージが湧き、実務でスムーズに動ける状態まで落とし込むことを大切にしています。また、基本ですが声のトーンや、内容は復唱して齟齬をなくすなど、顔が見えないからこそ意識することも大切にしています。(オンコール代行の研修方針)
Q._全スタッフが意識していることを教えてください。
A. まずはルールと仕組みを押さえること。その上で、ON CALL(オンコール代行サービス)の趣旨を理解し、相手に寄り添いながら「できません」で終わらせず今できる代替案を必ず提示する姿勢を大切にしています。夜間・休日でもニーズを少しでも満たすことを大切にし、「電話してよかった」と思っていただける応対を、ロールプレイと振り返りで定着させています。
Q. どんなバックグラウンドのメンバーが多いですか?
A. 在宅医療経験者もいますが、多くは急性期病院で経験を積んだ看護師です。訪問診療・訪問看護の経験者も一部在籍しています。在宅特有の書類や手順は入職後にしっかりとサポートできる体制になっているので、医療資格をお持ちの方でオンコール代行サービス「ON CALL」に共感してくださる方であればどんなバックグラウンドの方でも大歓迎です。
Q. 「ON CALL」の良さはずばり「質」ですよね!質を維持するために意識していることは何ですか?
A. 質には速さも含まれます。往診時は住所を即共有してディレクターの初動を上げ、カルテ共有を早めて患者と医師を最短で接続します。加えて看護師の視点で必要情報を事前に聴取し、医師が診療しやすい土台を用意。患者・ご家族の安心感も高めます。日々、運用の見直しとスクリプト改善を重ね、コールセンターの質向上に取り組んでいます。
Q.最後に未来の仲間へメッセージをお願いします!
A.在宅で最期を迎えたい方は約7割と言われ、超高齢社会でそのニーズは確実に増えています。一方で、24時間365日のオンコール対応を医療機関だけで抱えるのは限界があり、人手不足も深刻です。だからこそ、私たちのようなオンコール代行サービスが必要です。夜間・休日の一本の電話に応え、必要に応じて医師の電話再診につなげ、往診を素早く手配、そしてその夜の受電・往診で得た気づきを翌朝の診療へ円滑につなぐ提案型の引継ぎで届ける——この一連を、患者さんとご家族の意思(方針)に寄り添いながら標準化された手順で実行します。目指すのは、オンコール対応を行う医療機関の皆さまから「ON CALLがあるから、在宅医療を安心して提供できる」と言っていただける状態です。現場の負担を軽くし、「ON CALLがある在宅医療」を当たり前の選択肢にすることが私の挑戦です。